科学の歴史は、興味深いストーリーで溢れています。そして、世界を変えるような画期的な科学的発見は、時に有り得ないような状況下で起こるものなのです。研究やイノベーションに莫大な投資にもかかわらず、化学療法が導入されて以来、がん治療における根本的なブレークスルーはほとんどありませんでした。EMBO Journalのポッドキャスト番組では、自身の研究室でのセレンディピティ(偶然の発見)に始まり、ありえない実験や失敗の連続が、結果として全く新しい抗がん剤の開発と増え続ける悪性腫瘍に対する強力な新しい治療オプションをもたらしたことを、本庶佑教授が自ら語っています。研究の道は基本的にオープンで予測不可能ですが、本庶教授のこのパワフルな経験談は、科学における最も重要な進歩の多くがオープンマインド、無限の好奇心、そして不屈の精神によってもたらされることを示しています。また、今日の科学研究において、革新とは個人ではなく複数の人々の集まりの中で起こること、また背景・専門性・方向性 さらには経験レベル等の異なる研究者が共に働き、従来の前提に挑戦する時に起こるのだということを、改めて思い起こさせてくれます。
関連リンク
- The EMBOのポッドキャスト: https://www.embo.org/podcasts/from-cell-death-to-cancer-immunotherapy/