学歴
- 1960-1962: 京都大学医学部進学課程
- 1962-1966: 京都大学医学部専門課程
- 1966-1967: 京都大学大学院医学研究科(生理系専攻)
- 1967-1971: 京都大学大学院医学研究科
- 1975: (京都大学)医学博士
職歴
- 2015~: 京都大学大学院医学研究科連携大学院講座客員教授(免疫ゲノム医学講座)
- 2015~: 先端医療振興財団(現 神戸医療産業都市推進機構)理事長
- 2017~: 京都大学高等研究院特別教授
- 2017~: 静岡県公立大学法人顧問
- 2020~: 京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター長
研究内容
私は生体防御機構である免疫系の中で、最も重要で本質的な現象である獲得免疫における病原体の侵入に反応して起こる抗体の多様化について、その全貌を明らかにしました。 抗原特異的抗体が作られる過程では、一つの抗原に対して種類の異なる複数の抗体が産生されるクラススイッチと呼ばれる変化と、さらに抗原とよりよく反応するよう、抗体のアミノ酸配列の微調整(体細胞突然変異)が起こります。 クラススイッチが抗体の主体であるH 鎖のゲノム遺伝子の組み換えと切除によって生じることを発見するとともに、H 鎖抗体遺伝子を単離し解析することによって、同一の遺伝子上に連結して存在するH鎖抗体遺伝子の各部分が、特殊な反復配列を介した遺伝子組み換えによってクラススイッチがおこる事実を証明しました。
それに加えて、自ら発見したリンパ球のもつ免疫抑制分子PD-1受容体に対する阻害剤が、癌細胞に対する免疫反応を著しく増強させ、強い抗癌作用を示すことをマウスを使って明らかにしました。 この知見をもとにヒト型PD-1抗体を作り、がん研究に応用することを提案し、企業の参入を得て2006年ヒト型PD-1抗体の作製が行われました。 その後治験が進みPD-1抗体はメラノーマの治療薬として2014年6月にPMDAによって承認されました。 2020年6月現在、肺がん、腎がん、ホジキンリンパ腫、頭頚部がんなど15種類以上のがん腫の治療薬として認可されています。 さらに私たちはマウスモデルでミトコンドリアの活性化剤との組合せでPD−1抗体の抗がん効果が著しく上昇することを発見し、臨床試験を進めています。 世界中では1,000件以上のPD-1抗体と各種薬剤の組合せによる各種がん腫治療への治験が進行中です。
受賞歴 (一部)
- 1996年6月: 恩賜賞・学士院賞
- 2000年11月: 文化功労者
- 2001年5月: 米国科学アカデミー外国人会員
- 2003年8月: ドイツ自然科学者アカデミー・レオポルディナ会員
- 2012年11月: ドイツ ロベルト・コッホ賞
- 2013年11月: 文化勲章
- 2014年9月: 唐奨 (Tang Prize) 第一回唐奨(バイオ医薬分野)
- 2016年9月: トムソン・ロイター引用栄誉賞
- 2016年11月: 京都賞
- 2016年12月: 慶應医学賞
- 2016年12月: Fudan-Zhongzhi Science Award
- 2018年11月: 日本医師会最高優功賞
- 2018年12月: ノーベル生理学・医学賞
- 2019年3月: アメリカ癌研究会(AACR)フェロー 2019
- 2019年6月: スペイン王立医学アカデミー 名誉会員
- 2019年9月: イギリス生理学会 名誉会員
- 2022年4月: 日本学術会議 栄誉会員
所属学会
- 日本免疫学会 名誉会員 (学会会長 1999-2000)
- 日本生化学会 名誉会員
- 国際生化学・分子生物学会 (学会会長 2006)
- 日本インターフェロン・サイトカイン学会 名誉会員
- 日本医学会 (第29回日本医学会総会2015 関西 副会頭)
- 日本癌学会 日本人名誉会員
- 日本薬学会 名誉会員
主な論文
Hayashi H, Chamoto K (Co-corresponding author), Hatae R, Kurosaki T, Togashi Y, Fukuoka K, Goto M, Chiba Y, Tomida S, Ota T, Haratani K, Takahama T, Tanizaki J, Yoshida T, Iwasa T, Tanaka K, Takeda M, Hirano T, Yoshida H, Ozasa H, Sakamori Y, Sakai K, Higuchi K, Uga H, Suminaka C, Hirai T, Nishio K, Nakagawa K, Honjo T. Soluble immune checkpoint factors reflect exhaustion of antitumor immunity and response to PD-1 blockade. (2024) J Clin Invest. 134(7):e168318. DOI: https://doi.org/10.1172/JCI168318
Kenji Chamoto, Ryusuke Hatae, Tasuku Honjo. Current issues and perspectives in PD‐1 blockade cancer immunotherapy. International Journal of Clinical Oncology, 2020 Jan 3, DOI: 10.1007/s10147-019-01588-7
Ryusuke Hatae, Kenji Chamoto, Young Hak Kim, Kazuhiro Sonomura, Kei Taneishi, Shuji Kawaguchi, Hironori Yoshida, Hiroaki Ozasa, Yuichi Sakamori, Maryam Akrami, Sidonia Fagarasan, Izuru Masuda, Yasushi Okuno, Fumihiko Matsuda, Toyohiro Hirai, Tasuku Honjo. Combination of host immune metabolic biomarkers for the PD-1 blockade cancer immunotherapy. JCI Insight. 2020; 5(2):e133501. DOI: 10.1172/jci.insight.133501
Alok Kumar, Kenji Chamoto, Partha S Chowdhury, Tasuku Honjo, Kumar et al. Tumors attenuating the mitochondrial activity in T cells escape from PD-1 blockade therapy. eLife 2020; 9:e52330. DOI: 10.7554/eLife.52330
Yin, Z., Kobayashi, M., Hu, W., Higashi, K., Begum, N.A., Kurokawa, K., Honjo, T. RNA-binding motifs of hnRNP K are critical for induction of antibody diversification by activation-induced cytidine deaminase. PNAS May 26, 2020 117 (21) 11624-11635 DOI: 10.1073/pnas.1921115117
Afzal Husain, Jiangliang Xu, Hodaka Fujii, Mikiyo Nakata, Maki Kobayashi, Ji-Yang Wang, Tasuku Honjo, Nasim A Begum. SAMHD1-mediated dNTP degradation is required for efficient DNA repair during antibody class switch recombination. The EMBO Journal e102931 2020, DOI: 10.15252/embj.2019102931
Maryam Akrami, Rosemary Menzies, Kenji Chamoto, Michio Miyajima, Ryuji Suzuki, Hiroyuki Sato, Akiko Nishii, Michio Tomura, Sidonia Fagarasan, Tasuku Honjo. Circulation of gut-preactivated naïve CD8+ T cells enhances antitumor immunity in B cell-defective mice. PNAS September 22, 2020 117 (38) 23674-23683, DOI: 10.1073/pnas.2010981117
Matin Dokht Ashoori, Kensuke Suzuki, Yosuke Tokumaru, Naoko Ikuta, Masaki Tajima, Tasuku Honjo and Akio Ohta. Inactivation of the PD-1-Dependent Immunoregulation in Mice Exacerbates Contact Hypersensitivity. Resembling Immune-Related Adverse Events. Front. Immunol., 27 January 2021, DOI: 10.3389/fimmu.2020.618711